犬の城
7
外に出ても、彼の足が進む方向は変わらなかった。
人目のつかぬところへ。
人目のつかぬところへ。
気が付けば、彼は真っ暗闇にいた。そこは城の裏手であった。さすがに人の気配はなく、辺りはひっそりと静まり返っている。城を取り囲む城壁を前にして、彼は沈黙し、佇んでいた。
まったく、私は何をしているのだろう。
そう思った時である。
…は……ない………
あの声が聞こえてきた。
私は……ない……
さっきよりも鋭く、明瞭に彼の頭に響き渡る。
「うっ…くっ…。」
咄嗟に彼は左手でこめかみを覆った。
そして……
私は犬ではない…!!
確かな声を背後に感じた。はっとして彼は振り返った。
しかし、何もそこにはいなかった。ランプを前に出し、辺りを見回したが、人影はなかった。ランプの光は淡く、城の外壁を照らすだけであった。
?
違和感があった。
その違和感は城の壁に近付くと、ますます大きくなっていった。
ここだけ、何か様子が違う。
人目のつかぬところへ。
人目のつかぬところへ。
気が付けば、彼は真っ暗闇にいた。そこは城の裏手であった。さすがに人の気配はなく、辺りはひっそりと静まり返っている。城を取り囲む城壁を前にして、彼は沈黙し、佇んでいた。
まったく、私は何をしているのだろう。
そう思った時である。
…は……ない………
あの声が聞こえてきた。
私は……ない……
さっきよりも鋭く、明瞭に彼の頭に響き渡る。
「うっ…くっ…。」
咄嗟に彼は左手でこめかみを覆った。
そして……
私は犬ではない…!!
確かな声を背後に感じた。はっとして彼は振り返った。
しかし、何もそこにはいなかった。ランプを前に出し、辺りを見回したが、人影はなかった。ランプの光は淡く、城の外壁を照らすだけであった。
?
違和感があった。
その違和感は城の壁に近付くと、ますます大きくなっていった。
ここだけ、何か様子が違う。