犬の城
18
「お…王様!あんまり近付くとあぶねぇ!そいつはとんでもない罪人なんですよ!」
男の警告は、無論、王には聞こえない。
王は手の届く距離まで近付くと、男と同じ視線になるために屈んだ。
すると、男は呻きを止め、王の方に顔を向けた。
視線が合った。
王は噛み締めた。
この人は、
私の父だ。
衣服を着させられず、鎖に繋がれ、糞尿にまみれ、家畜のような食物を食べている、この人は、
私の父だ。
私の父は生きていた。
私の父は、犬として生きていた。
―犬の子め…!
私は
犬の子だった。
男の警告は、無論、王には聞こえない。
王は手の届く距離まで近付くと、男と同じ視線になるために屈んだ。
すると、男は呻きを止め、王の方に顔を向けた。
視線が合った。
王は噛み締めた。
この人は、
私の父だ。
衣服を着させられず、鎖に繋がれ、糞尿にまみれ、家畜のような食物を食べている、この人は、
私の父だ。
私の父は生きていた。
私の父は、犬として生きていた。
―犬の子め…!
私は
犬の子だった。