犬の城
Ⅶ
ある日、商人をかわいそうに思った人が、彼のくびわをはずし、お城の外に商人をにがしてあげました。商人はすぐにでもおひめさまに会いたかったのですが、お城に行けばまたつかまってしまいます。ひとまず、彼は自分の家に行くことにしました。ほんの少しだけ、お父さんにかおを見せたかったのです。商人はやせきった体でふらふらになりながら、やっとの思いで家につきました。しかし、家に入るとお父さんは死んでいました。お母さんも死んでいました。一番上のお兄さんと、そのおくさんも死んでいました。そして、机の上には手紙がおいてありました。それにはこう書いてありました。「お前がにげつづければ、兄弟を上からじゅんにころしていく。」
商人はお城にもどるしかありませんでした。
商人はお城にもどるしかありませんでした。