たとえどんなに辛いサヨナラが待っていたとしても
「ペーター、先に謝っとくね。ごめん!」


「...何ですか。
今度は何をやらかしたんですか?」



どうしたのかな。
控え室に入ってくるなり、なぜかあせった様子のサキ姉。



「トラブルがあって、前から予定してたペーターのズボンが使えなくなっちゃって。
それで、スタイリストが急いで用意したんだけど、


それが、これ、みたいで。」


「な、何ですか、これは!
こんなの履けるわけないでしょう!
だから!スタイリスト代えてくださいって何回も言ってるじゃないですか。」




...確かに。
これは、ひどい。

ズボンというか、ズボンであるかどうかもよく分からない。

色は無地の黒で普通なんだけど、うーん、なんていうか、
言葉では説明しずらい。

あえていうなら、エプロンがついているズボン、かな。

よくこんなの見つけてきたな。


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