この声が枯れるまで
修学旅行は後半戦に差し掛かっていた。


でも、俺達は全然さびしいとか嫌だとか思わなかった。



むしろ最後まで楽しんでやろうと思った。



「うっそおおおおおおおおお」


浩二は俺たちの関係に気づくと大声で叫んだ。


おいおい。ここで大声出すな!と俺は浩二の口をふさいだ。


ここは大型ショッピングデパートの三階。レストラン街という所である。



みんな意見は分かれたけど、その中で全員一致したのは、『和風』が食べたいということ。


そして、悩んで悩んで、俺達は『回転寿司』にすることにした。


「んーーんめぇ!っていうかさー。おまえらいつのまにこんな関係になんかなっちゃってんだよー。」


「んー。さっき。」


「さっきってーーー!!おまえってやつは本当にやってやるよな」



「おう!!」



長尾はそんな俺たちの会話を笑いながら聞いていた。



でも、一人。険しい顔で俺達の会話を聞いてる奴がいた………



「八木?どうした?」


「………」


「なあ?」


「……」



「八木ー?」



「キスして。」



「は?」



「ここで…キスして。」



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