この声が枯れるまで
「はやと!!!勉強しなさーーーい!」


うう……。家に帰ると、「おかえり」より先に「勉強しなさい」という言葉がくる母さんって……。


「はいはい。しますよー。」


「最近、一輝にギター借りてるらしいじゃない?宿題終わってからやんなさいよ。」


「わかーーった。」


ギターを弾くというのには反対になかったのを見て、少し安心した。父さんは……相変わらず、新聞とにらめっこしている。


「えーっと。飯は?」


「今日は、から揚げよ!!」


おおーー!俺の今一番食べたかったやつベスト3に入っていたから揚げを、母さんは一発で当てた。



「しかーし!隼人の嫌いなにんじんもいれたわよー。」


「ゲッ!!!」


にんじん・・・。それは俺の敵!!!!小さい頃から、あの味が駄目だ。うう……。


「ただいまー。」


「あ。一輝。今日は早かったのねー。」

「お!今日は、から揚げ?」


兄ちゃんは、またどっかでライブしてきたのか、長い髪の毛はワックスで上に立たせて、いつもしてるめがねをはずし、コンタクトにしてる。


「から揚げは、5個!!!1個あまるからじゃんけんね!!!」


母さんは、いいにおいがするから揚げを、テーブルにのせた。みんなは、じゅるっと唾をのんだ。



「せーの!じゃんけーん!!ぽい!」


兄ちゃんチョキ、母さんチョキ、父さんチョキ、俺はパー……



「~くっそ!」


俺のから揚げがあ~~~!!!結局勝ったのは、父さんで、父さんは顔色一つ変えずにむしゃむしゃと、そのみんなが狙っていた、おおきなから揚げを一口で食い上げた。


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