音人。
「…………………………好きだよ」
長い沈黙の後、壱兄は答えた。小さな声で。あたしはひゅっと息を呑む。自分でもその音が浮いて聞こえたのがわかった。
「好き……なの?」
「好きだよ。だって、千秋は俺の大事な妹だから」
――はぐらかされてしまった。あたしは壱兄の顔を押しのけて立ち上がる。
「いひゃい、千秋」
そのあとほっぺたを引っ張ったら、壱兄が変な声で言った。
「うるさい、大事な“妹”のおもちゃにくらいなれ」
よくわからない怒りに任せて腹いせに壱兄のほっぺを引っ張っていたら。
「……何やってるんだ、お前ら」
浩兄が、よくわからん、という表情で覗いていた。
長い沈黙の後、壱兄は答えた。小さな声で。あたしはひゅっと息を呑む。自分でもその音が浮いて聞こえたのがわかった。
「好き……なの?」
「好きだよ。だって、千秋は俺の大事な妹だから」
――はぐらかされてしまった。あたしは壱兄の顔を押しのけて立ち上がる。
「いひゃい、千秋」
そのあとほっぺたを引っ張ったら、壱兄が変な声で言った。
「うるさい、大事な“妹”のおもちゃにくらいなれ」
よくわからない怒りに任せて腹いせに壱兄のほっぺを引っ張っていたら。
「……何やってるんだ、お前ら」
浩兄が、よくわからん、という表情で覗いていた。