溺れる唇
前に会ったのは、雪の日。
熱燗が飲みたい、なんて渋いことを言う
あゆみちゃんを連れて、日本酒や焼酎の
多い居酒屋に行ったのが最後だった。
「トラブル対応ですか?」
「そうなの。また汚れちゃったわ」
「翔子さん達が見るのって、普段は掃除
しない所ですもんね」
現場で手伝ってもらったこともあるので、
あゆみちゃんもシステムの仕事内容は
知っている。
「本当に色気のない仕事よね」
ため息をつくと、ぺちん、と
笑いながら腕に突っ込まれた。
「またまた~、翔子さんは
十分色っぽいですよ~」