溺れる唇
「いきなり電源が落ちて・・・ああ、
作りかけのデータが・・・」
あら、そうですか。
それはそれは・・・ご愁傷さま(笑)
「わかりました。今からそちらに
向かいますので、そのままの状態で
お待ち下さい」
私は笑いたい気持ちを抑え、涼しい声で
答えると、受話器を置いた。
この会社で“企画”と着く部署は2つ。
どちらも陰でひっそり仕事してるココ
とは違い、華やかなエリート部署だ。
1つは限られた人間しか入れない
上の方のフロアにあるが、
こっちの“企画”は、社員なら
出入り自由の一般フロア。
しがない平社員である私でも入れる。