溺れる唇

地味なTシャツにスニーカーばかり
だった、昔の裕馬を思い出す。

「馬子にも衣装って、本当ね」
「元が悪くなかったんでしょう。留学先で
磨かれて光って帰って来たわけですよ!
そして、感動の再会!!」

盛り上がったあゆみちゃんの目には、
キラキラ光るハートが見えた。


「翔子さん!私、応援しますから!」


いやいや、応援してもらっても。



・・・・・・・・・・ねぇ?


「あゆみちゃん、会社でも言ったけど。
本当に今は何でもないのよ。
あれは、ただの元カレ」



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