溺れる唇
とは言っても、
元々、あまりお酒が強くない私は、
勧められるままに飲みすぎて、
倒れそうになったこともある。
そういえば、システムに入った時の
歓迎会もそう。
トイレの前でフラフラと座り込みそうに
なった所を助けられ、どうにか醜態を
さらすことなく帰ることができた。
「あの、翔子先輩・・・」
額を指先で支え、画面を睨んでいた私を
考え中と判断したのか、
芳賀くんが遠慮がちに声をかける。
「ん?」
「今週末に提出の報告書なんですけど。
ちょっと見ていただけませんか?」
差し出された数枚の紙に、頭の痛みが
増す気がした。