溺れる唇

「あの・・・何か?」
「いや」

笠井さんは私から目を逸らして、
画面に向き直った。


「腹減ったな」


そう言われても、私のお腹の虫は動く
気配を見せない。

いつもは、持ち主の気も知らず、かなり
元気よく鳴いてくれたりするのに。


やっぱり日本酒の打撃力はすごい。



「今日の昼は中華にしよーな」



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