溺れる唇


もっと、力を抜いていいのに。


芳賀くんにそう言ってあげたかった。

頑張り屋さんの、かわいい後輩だから。



社会人生活は長い。

無理して、イイことなんて何もないのだ。



「別に、痛がったっていいのよ?」

ちょん、と指先でつつくと、芳賀くんは
大きな目を更に見開き、かあっと
顔を赤くした。



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