溺れる唇

7時半の正面玄関ロビー。

そこにどのくらい人がいるのか、
思い出そうとしてみたけれど。

そんな時間に正面から出たのは、
思ったよりずっと
昔のことのようだったらしい。

しかし、全く思い出せない
状況を気にせずに、
逃げ出して来た部屋に戻れるほど、
私の心臓は毛深くなくて。

「あー、もう。なんなのよ・・・」

顔を覆って、ため息をつく。


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