溺れる唇

きっと、私は自分でも気づかないほど
ゆるやかに飽きていたのだ。

穏やかに過ぎて行く、やわらかで、
優しい味わいの日々に。

そこに身を沈めることに慣れ、
昔、味わったあの味を
いつしか忘れようとしていた。



でも、今は。

あの、苦みが恋しい。


舌がしびれそうなほどの・・・


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