溺れる唇
待ち合わせの場所を変更してもらおうと、
内線を入れてみたのだけれど、
忙しいらしい裕馬が出ることはなく。
上司らしい男性に、
「席を外している」
と言われてしまう始末。
おそらく、どこからかかって来たのかは
バレてしまっているだろう。
裕馬の近くにあった電話には、
ウチの内線番号を大きな赤字で書いた
カードがささっていたから。
緊急時の番号、ということで、
暗記している社員も少なくはないようだ。