溺れる唇

大きく深いため息をついて、
笠井さんが私の肩口に顔を寄せる。

そして、鼻先で髪をかき分け、
首筋にそっと唇が押しつけられた。

「・・・っ!」

軽く吸われる感覚に漏らしかけた声は、
逞しい腕と胸の間で封じ込められる。

そうして、ふわふわと
首筋を上がって行く笠井さんの唇。

触れるか触れないかの微かなタッチに、
駆け上る感覚は紛れもない快感。


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