溺れる唇

「もう!笠井さん!
私で遊ばないで下さい!」


そうだ・・・・・そう。

あの後、家に戻った私は
まさかと思って確認したんだった。

何事も無かったかのごとく、
いつも通りの自分の首を。

「そうやって笠井さんは面白がって」

笑いすぎたらしい笠井さんが、
目尻を指で拭いながら、
顔を上げるのが見えた。

「あんな、こととか・・・私は!」


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