溺れる唇

ためらいがちに、
最初の一歩を踏み出して。

見守る笠井さんに、背中を
押されるようにして、歩き出す。



裕馬はどこにいったんだろう?



考えながら歩く、私の歩調は
少しずつ早くなって。



どこか、店に…………ううん、違う。



ほどんど小走りで、角を曲がった。



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