溺れる唇


淀んだ瞳に、いつもの明るい光はない。


その瞳を見て、私はさっきまで
抱いていた不安が、
ほろほろと解けていくのを感じた。



「・・・・・ばか・・・」



傷ついた裕馬の瞳が、物語っている。

この瞳の色を、私はずっと
見落としていたのだ。


「本当に・・・・」


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