溺れる唇
美人の上司。
その上司と一緒にいる裕馬・・・
「・・・うらやましい・・」
思わず漏らしてしまってから、あ、と。
口を押さえたけれど、後の祭り。
「うらやましいってどういう意味?
翔子にはそういう願望あるわけ?
俺の聞き違いだよな?もちろん」
「勘違いしないでよ」
いや、私の場合、美形の上司は
”例えば”なんかじゃなく
実際にいるわけなんだけれども。
仕事関係以外だと、会社の外では
顔を合わせたことすら無いのだ。
一晩ベッドを借りた、あの日を除けば。
「ほら、ウチの部署って男性ばっかり
でしょ?だから、やっぱりね、
女同士の会話が恋しくなるのよ。
前はね、女の子が来るといいなって
いつも言ってたの」