溺れる唇

それ以上、余計なことは言わずに、
裕馬は私をそっと抱きしめる。

ぎゅっと抱きしめてくれる腕に
甘えながら、私は、巡り合わせって
不思議だな、と思う。



三浦 裕馬。


私の元カレ・・・だった男。



同じ大学に通っていた私達は、
小さなきっかけから知り合いとなり、
友達期間を経て、いつの間にか、
付き合うようになった。

若かった私達は、たった数ヶ月後、
小さな行き違いが元で別れてしまった。

その後すぐに、裕馬は留学。

もう二度、会うこともないだろう、と
そう思っていたのに。


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