溺れる唇

「・・・妬いてない」

ぶすっとした顔で言うのも
悪くないけれど、今見たいのは
この表情じゃない。

「笠井さんにも・・・
チョコチップのクッキーにもよ?」

不機嫌な眉がようやく離れて、
困ったような表情を作った。

「クッキーには妬いてないよ」
「そう?」

小さく吹き出す裕馬の唇に触れさせた
指先が、やわらかく啄まれた。

「見ててって、言ったでしょ?」

そう言うと、裕馬は指先へのキスの
途中で、目を上げる。

「ちゃんと私を見てて。私と・・・
同じように」

裕馬は私の指先をキュッと握り、
もう一度、しっかりと唇を押しつける。

「ああ」


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