溺れる唇
AM 11:41
芳賀くんに心配されながら、アイツの
ノートPCを修理した私はデータの
吸い上げと移行を芳賀くんに任せ、
昨日のエラーデータをまとめていた。
徹夜作業を終えた笠井は始発で帰り、
午前中いっぱいは寝ているだろう。
多分、午後まで動き出せはしないはず。
そうは思うが、突発的な仕事の入らない
内に大きいのを処理しておきたかった。
「沢田、電話~」
「はい」
「外線3番に課長」
芳賀くんの向こう側にいる村田さんに
言われ、私は笠井の役職を思い出す。
そういえば、課長だったわね。