溺れる唇
『なんかそれ、気持ち悪いから
名前で呼んで?』
寝ぐせのついた頭をワシワシとやりながら
言われ、変な人の下に来ちゃったな~と
思ったのを覚えてる。
確か、芳賀くんの時も同じような感じ。
『笠井です。よろしく』
少し恥ずかしそうに笑ったのが、その時は
少し頼りなさそうに思えた。
だけど、一緒に仕事をしていくに従って、
意外とちゃんとした人なんだってことが
わかって来て。
今では信頼してる。
尊敬してると言っていいかもしれない
上司だ。