溺れる唇
脳ある鷹は・・・っていうやつ?
笠井はいつもへらへらしながら、
やることはきっちりやってくれる。
頼りがいのある男っていうのは、
こういうものなのかしら?
そんな褒め言葉なような、失礼な事を
考えながら、私は少しだけ笑い、
外線の【3】を押した。
「おはようございます、沢田です」
「おはよー」
「早いですね。もう少し寝ているかと」
「なんかウチの近くで工事やっててさ~、
眠れないんだよ。だから、そっち行く」
「出社するんですか?」
「いや、出社っていうか・・・寝かして」
「仮眠ブース、空けておきます(笑)」
「よろしく~」
どうせ、仕事はするんだろうけど。