溺れる唇

「まだ昼休み前ですし、私はいいです。
他の方とどうぞ」

無表情で冷やかに言い切ると、くるりと
背を向けた。

皆の反応も怖いが、とりあえず、手に
持った物をどうにかしなくては。

「まあ、どうぞ」

どんな顔をして振り向こうかと考えて
いた所に、村田さんの声が聞こえて、
え?と振り向く。

なぜか、本当になぜかわからないが、
村田さんは裕馬をどうぞどうぞ、と、
ドアの内側へと招き入れていた。

「ちょっ!」
「翔子先輩」

芳賀くんも私に笑いかける。

そして、入って来た裕馬にPCを示した。


なに、これ、歓迎?


< 68 / 344 >

この作品をシェア

pagetop