溺れる唇

「ありがとう」

私が藤原さんと無言のやり取りをしてる
隙に、裕馬も笑顔を返していた。


むむ、笑顔対決では互角か?!


頭1つ分くらい低い芳賀くんを見下ろし、
裕馬は言った。

「でも、今は預かっててもらえるかな。
昼休み終わったら取りに来るから」

芳賀くんがちょっとだけ、驚いたような
顔をしたのが見えた。

「翔子。もう昼だ。行こう」


AM 12:04


「失礼しました。また、後で来ます」

私は行くとも言ってないのに、裕馬は
こっちをチラッと見て、ドアを閉めた。


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