溺れる唇
「うくくくくくく」
堪え切れない、といった感じで
藤原さんがデスクにつっぷす。
「いいねぇ~、若いって!」
ドアの近くの村田さん、まだ立ったままの
芳賀くんは無言だ。
「なんだ。ほら、人目を憚るような
関係でもないんだろ?」
「いえ、別にそんなんじゃ」
「じゃあ、行ってやれよ。あんなイイ男
相手に、いつまでもグズってると、変に
勘繰られるぞ?」
確かに、藤原さんの言うとおりだ。
別に、やましいことはない。
・・・・・私の心の中以外には。
「・・・行ってきます」