溺れる唇

元々、背が高いから、スーツが
似合うんだ。


身長のせいよ。


ただ、それだけ。


そう思って考えを逸らそうとしたけど、
私の目はどうしても、そんな目で
裕馬の後ろ姿を見てしまう。

スーツ姿の男の後ろ姿というのは


・・・・・ヤバイ。



私は邪な考えを追い払うため、先を
行く裕馬に並ぼうとして、

「わっ」

最後の段を踏み外した。


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