溺れる唇

ぐらり、と視界が傾いたのは一瞬だけ。

落ちそうになった私の手を、裕馬が
しっかりと掴んでいた。

「あっぶな!」


そのまま裕馬は腕を引いて、私を
抱き締めるようにして引き寄せる。



え?



思わず見上げた私の頬に、裕馬の
大きな手が包み込むように触れる。

「大丈夫か?」


< 78 / 344 >

この作品をシェア

pagetop