溺れる唇

「あーもう、驚かすなよ。心臓に悪い」
「ゆっ裕馬」

私からすれば、裕馬の方が心臓に悪い。

「あんまり大きい声出すなよ。
ここ、響くから」

ぎゅうっと、抱きしめる腕に力を
入れながら言う。

「どこも痛くないか?」

「だ、大丈夫」

離せよ、と体を動かしもできないほどに、
裕馬の腕は強く私を拘束している。

「足は?」

もう、離してよっ

「痛いかも」
「えっ」

がばっ、と裕馬は腕を解き、私の足元に
膝をつく。

「捻った?」


ヨシ。


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