溺れる唇
白っぽい布で仕切られた、明るい
雰囲気の場所だ。
テーブルの上に『ご予約席』のカード。
広い窓辺には、赤とピンクの花が
さりげなく飾られていた。
「予約してたの?」
「うん」
「私が来なかったかもしれないのに?」
「ああ、まあ、その時は別の子を連れて
来ればいいかと思って」
「あ、そ」
腰を浮かせた私を、裕馬が引きとめる。
「冗談だよ。どうにかして連れてくる
つもりだったから。昨日、翔子が帰った
後で予約した。ここ、夜もやってるんだ」