溺れる唇

食後のコーヒーと、ドルチェまで
ペロリと平らげて。

「美味しかった~」

けっこうゆっくりしちゃったな、と、
時計を確認すると、昼休み終了10分前。

「もう戻らなきゃ、だな」

そう言って立ち上がると、裕馬が
サラっとお会計を済ませてしまって。

私は不本意ではあるけれど、一応、
ごちそうさまです、礼を述べた。

「いいって。お礼、だから」


裕馬は、本当に大人になった。


学生の頃は、裕馬も私も、そんなに
お金持って無かったから、こんな姿を
見ることも無かった。



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