溺れる唇

突然に、だけど優しく触れさせただけの
唇を離すと、裕馬は茫然とする私を見て、
くくっと笑った。

「殴られるかと思ったんだけど」

頬を包んだ手の親指で頬を撫で、
離れながら、髪に指を通す。

「よかった」

嬉しそうな裕馬の声と、聞きなれたドアを
開く音を続けて聞きながら私は目を瞠り、
硬直して薄暗い廊下に立ちつくしていた。



今・・・今、コイツ・・・・・


キ・・・・・私にキ・・・・・・・・





・・・キキキキキスしなかった?!



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