溺れる唇
「じゃあ、なんだ?
夜のお誘いでもあったのか?」
「藤原さん」
「んあ?」
「いくら私相手でも、それは
さすがにセクハラですよ」
「そうか?じゃあ、すまん(笑)」
顔を上げると、まだちょっとだけ
面白がってる藤原さんの顔が
ドアから覗いていた。
「ちょっと眩暈がしただけです。
少し休んだら行きますから」
「そうか。ゆっくりでいいぞ」
藤原さんは、今度は笑わずに言って、
ぱたん、とドアを閉めた。
ものわかりのいい上司。
ちょっと、ウザいけど。