溺れる。
深夜11時。
録画したドラマを見ている時、突然鳴り響いたインターホンに胸がざわついた。
まさか…。
そんな気持ちを込めて、恐る恐る玄関を開けると…
「よぉ」
くわえ煙草にいつもの黒いスーツでニヤリと笑う塚本さんが怠そうに立っていた。
「え…、」
「ん、入れてくんねぇの?」
珍しくニコッと優しく笑った塚本さんに胸が押し潰されそうな感覚になる。
「どうぞ…」
「ん」
戸惑いながら、塚本さんを迎え入れながら思ったこと。
そうだ。彼はこういう人だった。
連絡ナシでいつもフラッと現れて、どんなに遅い時間でも決して泊まることなく帰っていく。
何日も連続で来たかと思えば、急にパタッと来なくなる時もあって…。
改めて、私は塚本さんに振り回されているということを痛感した。
「晴、」
「え?…っ!!」
玄関で靴も脱がないまま壁に押し付けられながらされた強引なキス。
「晴、晴、」
「…っ、」
まるで存在を確かめるように何度も私の名前を呼んで、キスを繰り返す塚本さんに、心臓がぎゅっと狭くなった。