溺れる。



「ハル…?」

「ごめん…しばらく泊まらせてもらってもいい?」



自分の気持ちをセーブするため、私が取った行動は、塚本さんと距離を置くということだった。





元々塚本さんのことをわかったことなんかなかったけど、昨日のあの行動で、余計にわからなくなったのは事実。



それにあんなに余裕のない塚本さんは初めてで…不謹慎だけど、それさえも愛しく感じてしまったあたしは、自分でも分かるぐらい重症だ。




それならしばらく塚本さんと距離を置いた方が気持ち的にも落ち着くんじゃないかと思ったのだ。


「何かあったの?」

「ん、失恋…みたいな」



あの家に居たんじゃ、いつ塚本さんが来るかもわからないし、嫌でも期待しちゃうから、親友の美佳の家に泊まらせることにしてもらい、今まで誰にも話さなかった塚本さんのことを全て話した。




「そっか…」

「だから…しばらくお世話になってもいいかな、」

「うん!全然いいよ〜!あ、そのかわりご飯作ってよね?私ハルの料理好きなんだから」

「あはは、了解」



美佳は心配性だからきっと言いたいこともたくさんあるはず。
でもそれを言わないのは、美佳の優しさ。




申し訳ないと思いながら、その好意に甘えることにし、「お腹空いた〜!」と騒ぐ美佳のためにキッチンへ向かった。




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