溺れる。
「ハル明日夜から?」
「ん?何が?」
「バイト」
「あー…バイトはしばらく朝だけのシフトにしてもらったの」
「え?なんで?」
「夜は…塚本さんが来るかもしれないから」
距離を置くと決めたら徹底的に。
そう決めていた私は、さっき決心がついたと同時に店長に電話して、シフトを組み直してもらった。
ずいぶん心配してくれたけど、
「ハルが決めたことならいいんじゃね?」
最後には私の勝手な我が儘を許してくれた店長。
きっと私は店長には一生頭が上がらない。
でも午前中だけのシフトではとても稼げないから、しばらく夜は美佳ん家の近くにあるコンビニでバイトでもしようかな。
隣町だし、塚本さん来ないよね。
「美佳の家の近くのコンビニってバイト募集してるかな?」
「あ、あそこ?確か水野がバイトしてたと思うから聞いてみようか?」
「水野くん?」
「そう、結構前から」
「へー。じゃあ私番号知らないから頼んでもいい?」
「オッケー」
んじゃ早速、と続けて、携帯を手に取った美佳を見て、美佳にも頭が上がらないな、なんて思った。