溺れる。



ようやく解放された時には既に息が上がっていて。
恥ずかしさでいっぱいの私は、ドクドクする胸を押さえ、真っ赤になった顔を見られないように深く俯いた。


「ククッ」


頭上から喉を鳴らして笑う塚本さんが窺えたが、今はそれに言い返す気力もない。
それに今上を向いて、こんな顔を見られる方が嫌だ。


だってこんなの塚本さんが好きだと言ってるようなもんだ。
それは何が何でも避けたい。そんなことになったら、今まで必死に積み上げてきた3年が無駄になる。



彼女じゃない私はバレちゃいけない。
この気持ちだけは。


もしバレた時拒絶されたら、それこそ立ち直れない。



たまに見える寂しそうな、つらそうな、それでいて泣きそうな瞳に映るのは私じゃない。私じゃ…ない。



だから塚本さんの側にいるためには。
一分一秒でも長く隣にいるためには…私は物分りのいい面倒じゃない女を演じなきゃならない。



こんな惨めな思いをしてまで、塚本さんに依存してる私はもうどうしようもないくらい塚本さんに溺れてるらしい。



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