新婚さんの事情
3節 旦那さんside
カタカタ....
キーボードをひたすら打つ
「木下っ、すまん、この製作書、明日までに作ってくれ」
課長はそう言って資料を僕に渡した
「あ、はい、分かりました」
僕は愛想笑いをし、その資料を受け取る
「はは、出来の良い、部下をもつことは良いことだなっ」
課長は僕の肩にポンと手を置き
自分のデスクに戻る
すると
「どんまい、木下」
加藤が横から声をかけてきた
「あぁ、さんきゅ、良い部下ってさ、自分が楽したいだけだろっ」
そう愚痴をいいながらも僕はタイプをうち続ける
「はぁ、確かに、後輩扱い荒すぎ、これでまた残業確定か」
そう、あのお盆休みから
ろくに家にも帰れないぐらい忙しくなった
家に帰れないお陰でヒカリとも一緒に通勤できないし
ああー、なにもかもが嫌になる