なえる
 三田村には会えないまま週末を迎えた。付き合うようになって一年が経つが初めてのことだった。

 毎週末みよしは一人で過ごすことが多い。友人と会うのは一ヶ月に一度あるかないかだ。

 過去に一度、土曜日に突然三田村から連絡がきて会えたことがあった。それからいつでも連絡がきたら会えるようにと予定をあけておく。もし、友人と一緒にいても常に携帯電話をチェックして、連絡があれば友人より三田村を取るということに迷いはない。

 しかし、二十四歳の若い女がなんて悲しい週末を過ごしているんだろうとたまに悲しくなる。このことは三田村にも話していないし、向こうも気を遣っているのか何も聞いてこない。

 今、三田村は何をしているのだろう。家に仕事を持ち帰ることもあると聞いたことがある。今週は忙しいと言っていたから、今頃はパソコンに向っているのかもしれない。


「うちの奴とは子供のためだけに一緒にいるようなものだよ」

「子供がいなかったら別れてたんですか?」

「そうかもしれない」

 子供がいるから妻でいれる女と子供がいないのに愛されている自分。そう考えるとみよしは顔も知らない三田村の妻と三田村にほのかな恋心を抱いている女子社員たちを思い浮かべ、勝ち誇った気持ちになった。
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