なえる
 バスを降りてすぐにそれはあった。真新しい一軒家が何件も並び、空き地には建設予定の看板が立てられている。みよしは急に恐くなり、足を止めた。

 どんなに三田村を愛しているとは言え、三田村には妻と子がある。その現実をわざわざ自分で見に来てしまったことに後悔した。

 それでもみよしは足を進めた。三田村のもう一つの顔がどうしても見たかった。

 ガーデニングが趣味なのか数々の花に囲まれた家、夏には家族でバーベキューができそうな広い庭、子供の三輪車とサッカーボールがカゴに入った自転車。

 すべてのものがみよしに、ここには幸せな家族しか住んではいけないのだと言っているような気がした。

 しばらくして同僚から聞いた公園が見えてきた。周りの家と同様に公園も新しく、草は短く刈り込まれ丁寧に整備されている。

 これなら親たちも安心して、子供たちを遊ばせられるだろう。

 公園内を覗いてみると、子供たちがブランコに乗っていたり砂遊びをしている。
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