なえる
みよしはジッと待ってみたが、一時間を過ぎてもみよしの期待する声は聞けなかった。
持ってきた本も読み終えてしまい、母親たちも帰る準備をし始めた。
母親たちが帰ったらみよしもここにいる意味はない。三田村の週末を見たくてここに来たが、彼の姿は無く、三田村の妻の顔を知ることもできなかった。
空振りに終わったとため息をついたとき、その声は聞こえた。
「三田村さーん、忘れ物よ」
そう叫んだ女性の視線の先に、女性と小さな女の子がいる。
「ありがとう」
お礼を言った女性は子供用の赤いスコップを受け取った。あれが三田村の妻なのか。
黒髪のストレートで長い髪が風でなびいている。スタイルが良く、タイトなジーンズが似合っている。足元のヒールがより一層、スタイルの良さを強調していた。
みよしも三田村からスタイルがいいとよく言われるので、もしかすると体の細い人がタイプなのかもしれない。
笑顔でもう一人の女性と会話をし、帰ろうと体の向きを変えたとき、みよしは三田村の妻と目が合った。
それは、ほんの一秒足らずである。
三田村の妻はみよしから背を向け、子供と手をつないで公園を出ていった。三田村の妻は振り返りもせずに歩いていく。
みよしには一生忘れられない瞬間だった。二人の姿が見えなくなるまで目が離せずにいた。
持ってきた本も読み終えてしまい、母親たちも帰る準備をし始めた。
母親たちが帰ったらみよしもここにいる意味はない。三田村の週末を見たくてここに来たが、彼の姿は無く、三田村の妻の顔を知ることもできなかった。
空振りに終わったとため息をついたとき、その声は聞こえた。
「三田村さーん、忘れ物よ」
そう叫んだ女性の視線の先に、女性と小さな女の子がいる。
「ありがとう」
お礼を言った女性は子供用の赤いスコップを受け取った。あれが三田村の妻なのか。
黒髪のストレートで長い髪が風でなびいている。スタイルが良く、タイトなジーンズが似合っている。足元のヒールがより一層、スタイルの良さを強調していた。
みよしも三田村からスタイルがいいとよく言われるので、もしかすると体の細い人がタイプなのかもしれない。
笑顔でもう一人の女性と会話をし、帰ろうと体の向きを変えたとき、みよしは三田村の妻と目が合った。
それは、ほんの一秒足らずである。
三田村の妻はみよしから背を向け、子供と手をつないで公園を出ていった。三田村の妻は振り返りもせずに歩いていく。
みよしには一生忘れられない瞬間だった。二人の姿が見えなくなるまで目が離せずにいた。