なえる
 週が明け、水曜日に三田村はみよしのアパートを訪ねてきた。

「今日はイヤです」

 三田村がみよしを抱きしめて、キスをしてこようとしたときだった。

「どうして」

「生理なんです」

「平気だよ」

「イヤです」

 みよしは頑なに拒絶した。三田村の言う「好き」や「会いたかった」などという甘い言葉に壁を壊させなかった。

 今まで何度となく堕ちた壁だ。

 だんだん雰囲気は悪くなり、三田村の機嫌も悪くなった。

 そんな三田村が部屋を出たのは、まだ十時にもなっていなかった。
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