なえる

　土曜日。いつも通り、電車とバスを乗り継ぎ公園に出かけると、数人の母親たちがみよしを見て、何かを話している。

　そろそろ気付いたのだろう。一人で公園に来て、母親たちの輪を黙ってみつめる女の存在のことを。

　みよしはもう本を持っていくなどの小細工をやめていた。

　そしてその日、三田村の妻にも変化が表れた。みよしの方を見て、暗い顔をするようになった。

　みよしを苦しめるあの笑顔がなくなった。みよしの存在を知ったようだった。

　もうそろそろ公園に行けなくなる時が来たようだ。三田村の妻も周囲の母親たちもみよしの存在に気付き始め、不気味がって公園に集まらなくなるかもしれない。

　それに、もしかすると警察に通報される場合だってある。