なえる
 みよしは公園内に入ることをやめて、遠くから見ることにした。みよしが願う形がくるまでは、公園通いはやめないつもりだ。

 その行動を続ける間も、三田村はみよしのアパートに来た。みよしはもうどうでもよくなっていた。

 好きという感情があるのかどうかもわからなくなっていた。



「金田さん、顔色悪いけど平気?」

 トイレで同僚にそう言われて、みよしは鏡に映る自分を見ると、思わず口を押さえた。声が出そうになったからだ。

 目の下にクマがあり、吹き出物が目立つ。食欲が落ち、食べていなかったので頬がこけている。

 口角も下がり、肌には二十四歳の若さのハリなどどこにもなかった。顔色が悪いと言うより、老けたという表現が正しい。

 同僚もそこはわかっていたが、面と向って老けたとは言えなかったのだろう。
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