なえる
「主任の奥さんって、どんな人ですか?」

「どうしたの、急に」

 三田村の顔つきが変わった。意表を突かれたようだった。

「どんな人か見に行っちゃおうかな」

「大したことないよ」

「きっと、綺麗なんでしょうね」

「普通だって」

「写真は?」

「持ってるわけないだろ」

「嘘。子供と一緒のやつくらい持ってるんじゃないですか」

「おい、どうしたんだよ。君らしくないな」

「私らしくないって、どういう意味ですか」

「君は……、そういうことは言わない子だろう」

「そういうことって?」

「わがままとかさ」

「人間なんてわかりませんよ。大人しいと思っていたら、とんでもないことになるかも」

「まさか」

「……」

「君はそんな馬鹿な女じゃないさ。君は特別な子だ。俺にはわかってる」

 三田村はみよしを抱きしめた。今まで何度、「君は特別だ」と言われてきただろう。

 「俺は君のことを全て知ってるよ」そう言う三田村は、みよしのバストサイズがCカップからBカップになったことを知らない。
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