なえる
《今週は行けないかもしれない。仕事だ》

 三田村からこのメールが届いたのは、仕事が終わった帰りの電車内だった。三田村がみよしの部屋に来るのは毎週水曜日の週に一度だ。曜日はたまに変わったりするが、行けないと言われたのは、付き合うようになってから初めてのことだった。

 みよしは落胆した。三田村は今週という言葉を使ってきた。三田村に絶対会えない週末を時計を見ながら早く月曜日になれと祈り、ようやく迎えた月曜日に、今週は行けないなんていうメールをしてくるなんて悲しすぎる。

 週末は大人しくいい子にしていたのだからご褒美をくれたっていいではないかとみよしは心でわがままを呟いた。

 みよしにとって週に一度だけの逢瀬では心も身体も物足りなくなってきていた。もっと逢いたい。もっと、三田村に抱かれたい。

 みよしは最近感じていることがある。三田村とみよしではセックスに対する情熱が違う。

 激しく求めているのは自分の方だけだ。これがみよしの胸を苦しめた。妻を抱いているからみよしへの情熱がないのではないかとベッドの中で嫉妬に狂った。
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