なえる
 付き合い始めてから最初の二三ヶ月は毎日電話をくれた三田村も半年が過ぎた頃から一日あき、二日あき、最終的に週に一度、今夜家に行くからという連絡だけになってしまった。

 みよしから電話をかけることは滅多にない。三田村から電話を禁止されているわけではないが、三田村に迷惑をかけて嫌われるのが恐いのだ。

 しかし、今日のみよしは違った。三田村からメールの返事をどうしても聞きたかった。

 携帯電話と睨めっこをして二時間が経ったころ、ようやくダイヤルボタンを押し、みよしの耳に三田村を呼び出すコールが聞こえた。

 呼び出し音が鳴っている間にも冷たくされたらどうしよう……電話をかけてくるなと叱られたらどうしようなどとビクビクしていた。

 電話に出てほしいのと出ないでほしいという自分でもよくわからない思いが交錯した。

 もう電話を切ろう。着信が残っていれば折り返しの電話をくれるかもしれない。

 そう思ったとき、三田村の声が聞こえた。
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